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働き方改革実現会議について その2
~残業時間の上限設定の議論に関して~

前回に引き続き、政府による『働き方改革実現会議』に関しての弊所の見解を記します。

今回は最大の目玉とされている『残業時間の法律による上限設定』についてです。

これから来年の3月を目途に何らかの答申が出されるものと思いますが、このニュースをご覧頂く際の基本的知識をご理解頂けますと幸いです。

今まで労働時間の上限は無かったの?

原則となる労働時間の上限

今回のニュースをご覧なっていて、『あれ?今まで法律で上限は無かったの?』ですとか、『週40時間ではないの?』という疑問を持たれた方もいらっしゃるかもしれません。そのような方の為の解説になります。

 

実は現在は

①労働基準法(以下、労基法)第32条で

・1日8時間を超えて労働させてはならない

 ・1週間で40時間を超えて労働させてはならない

と書かれています。つまり、我が国の法律上、労働時間は『1日8時間、1週40時間』上限とされている訳です。まずはこれが原則とご承知おき下さい。

 

 

残業を可能とする『36協定(サブロク協定)』

原則は上記の通りです。しかし、これですと『残業時間はどこに行った?』ということになります。残業時間は労基法第36条に次のように定められています。

 

労働組合を始めとした『労働者の過半数を代表するもの』と会社の間で協定を結ぶことによって、労基法第32条の時間を超えて労働させることが出来る。

この協定が通称『36協定(サブロク協定)』と呼ばれているものです。お聞きになられたことがある方も沢山いらっしゃると思います。

この36協定があることによって、初めて会社は残業をさせることが出来るようになります。

 

 

36協定(サブロク協定)による残業時間の上限は??

では、この36協定を結ぶ際、残業時間の上限についてはどのように定められているのでしょうか?労基法36条第2項と第3項によって、このように定められています。

 

厚生労働大臣は残業時間の❝基準❞を定めることが出来る。36協定はその❝基準❞に適合したものにしなければならない。

 

では、厚生労働大臣が定めた❝基準❞による残業時間の上限は??

その基準は『時間外労働の限度に関する基準(平成10年労働省告示第154号)』によって、以下のように定められています。

変形労働時間制を用いていない場合
期間限度時間 ※残業時間の累計時間です

1週間

15時間
2週間27時間
4週間43時間
1ケ月45時間
2か月81時間
3ケ月120時間
1年間360時間

36協定で設定した期間に該当する限度時間が基準とされています。

ようやくここで36協定による限度の話が出てきました。

ただし、大切なのは法令上は『上限時間』とは書かれておらず、あくまで『限度時間』と書かれている点です。法令用語は細かな違いも厳密に取り扱いますので、『上限』と使わずに『限度』と使ったことには意味があります。

『時間外労働の限度に関する基準(平成10年労働省告示第154号)』はあくまで告示ですので、法律ではありません。行政による基準に過ぎません。

従って、法律のように強い強制力が無く、『上限』という絶対的な文言を使用することが出来ないのです。その為に『基準』や『限度』という少し弱い表現にならざるを得ないのです。

つまり、厳密に言いますと、現在我が国では『労働時間の上限』は労基法第32条によって定められていますが、実は『残業時間の上限』は存在しないということをご理解下さい。

 

36協定の特別条項付き

現に36協定には『特別条項』を付けることによって、『時間外労働の限度に関する基準(平成10年労働省告示第154号)』の基準を上回り残業時間を設定し、労基署へ届け出ることが認められています。これは以下の原則が理由です。

 

・『基準』はあくまで基準に過ぎず、法律による『上限』ではない

・そもそも労働条件は労使の自由な意思に基づいて決定されるべきものである

・労使協定も労使の自由な意思に基づいて締結されるものであり、国はそこまで関与すべきではない

『基準』と『上限』の話はご理解頂いた思いますので、その他2点についてご説明申し上げます。

 

契約自由の原則が残業時間の上限がない最大の理由

近代法の原則の一つに『契約自由の原則』というものがあります。

契約は当事者間の自由な意思に基づいて行われるべきであり、国家はそこに干渉するべきではないという考え方です。実は労働契約は民法上における『雇用契約』という契約の一つの形とされていて、雇用契約も契約である以上『契約自由の原則』に基づいて契約条件が決定されるべきであるとされています。

ただし、現実問題として、全てを自由にしてしまった場合、雇用契約の場合は雇う側の力関係が強すぎる恐れがある為、パワーバランスを整える目的で労働者保護の為の『労基法』や『労働契約法』等の労働法が定められています。

従って、これまでは残業時間については労使の自由意思に委ねることとして、『上限』は設けてこなかったということです。

今回の会議が目指している方向性

以上が残業時間における現在になります。

ニュース等ではここまで説明していませんが、今回の『働き方改革実現会議』はこの『限度』を『上限』に変えようという試みを目指しているということです。

実は『契約自由の原則』に踏み込むという大きな改革になります。

実際に何時間が『上限』となるかについては今のところ分かりませんが、弊所としては『一か月80時間』が過労死ラインであると言われている昨今の状況を鑑み、『80時間』程度になるのではないかと考えております。

重要なのは『限度時間』が『上限時間』となることによって、法的な拘束力が発生することが出来る為、実際の企業運営上、今までのように曖昧に取り扱うことが出来なくなるという点を考える必要があります。

企業様は労働時間をマネジメントし、残業時間をきちんとコントロールすることが法律上求められてくることが想定されます。

 

弊所においても、既にこの点のご相談を頂いている企業様もございます。これまで弊所として確立したサービスでは無かった『残業削減コンサルティング』が必要な時代になってきたと感じる次第です。

 

以上、本稿が今後のニュースをご覧になる際の一助になれれば幸いです。

ご不明な点がございましたら、いつでも弊所にご連絡頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。

 

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