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なぜいま有給休暇からこのコーナーが始まるのか?と申しますと、理由は以下の通りです。
まずは、改正の情報からスタート致します!!
有給休暇の取得率を上げる為の施策として、付与日数のうち5日分について、『取得を義務付ける』という労働基準法(以下、労基法)の改正がなされました。
これまで有給休暇は「付与されていても使えない」という状況がずっと続いておりますので、国としては日数を指定した上でその取得を義務付けるという強硬手段に出たと言えます。しかも、その義務化は労基法上で行われるというものです。
労基法というのは「労働に関する最低基準を示す法律」であり、
その精神は「会社に対しての義務」を定めることを旨としています。
つまり、今回の改正内容である「有給休暇5日分の取得義務」は会社側に課せられるということになります。
従いまして、これまで有給休暇をきちんと処理されていなかった企業様は基本から確認して頂く必要がございます。第一回にこのテーマを選んだのはそのような理由からです。
すこしでもこのページがお力になれれば幸いと存じます。
2018年10月追記
夏に国会で成立しました【働き方改革関連法案】に基づいて、上記の義務化が成立しました。
2019年4月から施行となっておりますが、詳細については現在のところ、まだ不透明です。皆様ご注意頂けますと幸いです。
2021年6月 施行後を踏まえて修正致しました。
有給休暇はいつ付与すればよいのでしょうか?そのタイミングは以下の通りです。
:
その後、毎年「△年半(△.5年)」を経過した時
が有給休暇を付与するタイミングになります。
それぞれのタイミングで過去1年間(1回目の時は半年)の出勤率が8割を超えている場合には有給休暇を付与することが定められています。
実務上、非常によくお聞き頂くのですが、
「アルバイト(パートタイマー)で入社した人が正社員に変わった場合はどうするのか?」
という疑問を頂きます。回答は
「最初のアルバイト(パートタイマー)での入社時から継続する形で考える」
ということになります。
例えば、
「令和2年4月1日」にアルバイトとして入社された方は「令和2年10月1日」に初回の付与タイミングが来ます。働きが認められて「令和3年1月1日」から正社員になった場合、次の付与は
「令和3年10月1日」に“2回目の付与”が行われます。
「令和3年7月1日」が“初回の付与”ではないことにご注意ください。
つまり、有給休暇付与のタイミングは身分がどうであったか?は考慮せず、最初に入社した時を基準として付与していくことになるという点をご理解ください。
8割出勤の計算方法は以下の通りです。
出勤日数 / 所定労働日数
これが80%を超えていれば、有給休暇を付与することになります。
ただし、計算をするにあたって、以下に該当する日については「出勤したもの」として取り扱います。
なお、遅刻した日や早退した日など労働時間が完全な1日になっていない場合も出勤日として取り扱います。
また、時々問題になるのですが、分母の「所定労働日数」には以下の日数は含みません。
付与日数は以下の通りです。正社員とパートタイマーでは異なりますので、それぞれの表をご覧下さい。
なお、アルバイト(パートタイマー)から正社員へ変更になっている場合は以下のように考えます。
例えば、
「令和2年4月1日」にアルバイトとして入社されて、「令和3年1月1日」から正社員になった方の場合は
となります。
大切なのは「正社員として初回であるから10日」ではないことです。
付与のタイミング | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 6回目 | 7回目以降 |
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日(以降毎年) |
所定労働時間がフルタイムの方はこの表が適用されます。
週の所定労働日数 | 1年間の所定労働日数 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 6回目 | 7回目以降 |
週4日 | 169~216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日(以降毎年) |
週3日 | 121~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日(以降毎年) |
週2日 | 73~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日(以降毎年) |
週1日 | 48~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日(以降毎年) |
フルタイムよりも短い時間で働方にはこの表が適用されます。
「週の所定労働日数」は契約書をベースとして大まかな目安で決めてください。
週の所定労働日数が変わった時は付与のタイミングでの所定労働日数でご判断下さい。
「一度付与された有給休暇はいつまで使えるのか?」というご質問もよく頂きます。
回答は以下の行政通達と労基法第115条によって、2年間で消滅するです。
行政通達(昭和22年12月15日基発)によって、
「当該年度に行使されなかった権利や次年度に繰り越されるものと解される。」と繰越が出来ることが示されており、合わせて労基法第115条(時効)において、
「この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。」
と規定されています。労基法第39条に書かれている有休休暇は退職手当のように除外されていませんので、も時効は2年と解されています。
例)「令和2年4月1日」に付与された10日
⇒ 使用した分を除いた“未使用分”は「令和4年3月31日」に消滅する。
以上、いかがでしたでしょうか?ご不明な点がございましたら、いつでも弊所にご連絡頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。
改正法の施行に伴い、「5日を取得させるとして、そのカウントの仕方は?」というご質問を多く頂戴します。結論的には、
それぞれの労働者様ごとの付与日から1年間で5日を取得して頂く
ということになります。会社様によって、皆様の付与日を一律に定めている場合は「有給休暇の年度ごと」の判断ということになりますが、通常の法律通りの運用をされている場合はそれぞれの労働者様ごとに異なりますので、ご注意下さい。
決して、【4月1日~3月31日】や【1月1日~12月31日】ではありませんので、
ご留意下さい。
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