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今回のテーマは『解雇』についてです。最初にお断りしておきたいのは以下の点です。
さて、本論に入りますが、企業が労働者を解雇しようとした場合、労働基準法では以下いずれかの「手続き」を経ることが求められています。
1、2、もしくは3のいずれかが労基法では求められています。つまり、
「明日から来なくていい!!!」
という解雇を行った場合には、「2」の30日分の賃金を支払うことが必要になるということです。
この30日分の賃金のことを解雇予告手当と言います。
なお、解雇予告手当を支払わずに解雇を行った場合には労働基準法違反となります。
逆に解雇予告手当を貰わずに解雇された労働者の方は解雇予告手当を請求することが出来るということになります。
※ただし、解雇予告手当が払われていない場合でも、解雇の効力そのものは否定されるものではありません。解雇予告手当が支払われていないことは手続き上のミスですので、労基法違反は問われますが、解雇が無かったことにはなりません。
それでは、解雇予告手当とはどのぐらいの金額が必要になるのでしょか?
解雇予告手当は『平均賃金の30日分』の金額とされています。(労基法第20条)
そして、平均賃金とは
『解雇予告日前、3ヶ月間に支払われた賃金 ÷ その3ヶ月間の暦日数』
のことを言います。(労基法第12条)
実務上では、ほぼ「平均賃金30日分の解雇予告手当≒月給金額」とお考え頂いて構いませんが、実際に支払を行う場合にはきちんと計算をしてください。
※3ヶ月間の歴日数」が2月(28日)+3月(31日)+4月(30日)=89日である場合、法律が求める金額を下回ることが発生する為です。
ただし、次の場合には解雇の予告をしなくても良いとなっています。つまり、解雇予告手当を支払わずに解雇することが出来るということです。
ただし、「1」及び「2」の場合には所轄労働基準監督署の認定が必要になります。
「3」から「6」の場合は所定の期間を超えていた場合には解雇予告又は解雇予告手当が必要となります。
それでは、次に労働基準監督署の認定はどのような基準で判断されるのでしょうか?
こちらは以下2つの条件が“どちらも揃っている”場合に認定されるとされています。
つまり、ただ単に天災事変が発生しただけでは足りず、その為に事業の継続が不可能な状態に陥っている場合にのみ解雇予告が不要になるということです。
同じように、事業の継続が不可能な状態であったとしても、その理由が単に経済的理由だけでは解雇予告が必要になるということです。
後ほど述べる「解雇出来ない期間」の除外認定も同様の基準です。
実務上、最もクライアント様が気になさる点の一つです。
「解雇したい」と弊所にご連絡くださるクライアント様の多くは、『好きで解雇しているとは限らない』と感じることが多々あります。ほとんどの場合、会社が解雇したい労働者というのは、『会社側から見たとき、何らかの問題がある』のが常です。
従って、「2.解雇されても仕方ない理由」がある!!とお考えになることは自然なことです。
以下が認定基準です。
しかしながら、労働基準監督署の認定基準はそれほど甘くなく、上記の条件に当てはまれば、即オッケーという訳ではありません。
実際に個別のケースを調査して判断しますし、基本的に労働者保護を目指している労基署が「解雇予告手当を支払わなくても解雇して良い」という重大な決定をするぐらい高度な理由が必要になるとお考え下さい。
実務上は「7」か「8」の場合で「『退職の意思確認が出来ない』場合に解雇して雇用契約を終了する為に用いられることが多いとお考え下さい。
「9」についてはよくお問合せを頂きますが、はっきりとした基準は示されていないのですが、かなりの回数が必要になるとお考え下さい。
解雇の手続きが上記の法律に則っていた場合、次に問題になるのが『解雇そのものが正しいのかどうか?』ということです。
解雇は過去の裁判例によって、以下の基準で「違法か否か?(正確は無効かどうか?)」が判断されてきた歴史があります。労働契約法第16条はその内容を文章にしたものです。
判断基準は以下の通りです。
実務上は以下の点を考える必要があります。
なお、「会社が期待した程のパフォーマンスが発揮されず、能力が不足しているから」という理由で解雇したいと仰る社長様がいらっしゃいますが、日本の法律では「パフォーマンスが発揮されないのを労働者のみの理由には出来ない」という観点から、
解雇理由として認められる為には「複数回に渡る教育指導」が不可欠となっています。
社会通念上、解雇しても仕方ないという判断がなされる為にはハードルが高いとご認識下さい。
また、会社の業績が悪くなった場合に行う解雇は「整理解雇」と言われますが、整理解雇の場合には労働者保護の観点から、より高いハードルが課せられています。詳細は後日別の回に記させて頂きますが、すぐにお知りになりたい方は弊所までご連絡頂ければ幸いです。
ここまでのお話では主に正社員(雇用契約期間が定められていない社員)を念頭にお話を進めて参りましたが、今日多くの方々が契約社員やパート(アルバイト)など『契約期間がある』働き方をされています。
それら、期間を定めて雇用している労働者(いわゆる有期雇用労働者)を契約期間の途中で解雇する場合にはさらに高いハードルが課せられています。
雇用期間は重大な労働条件の一つですので、雇用契約を結んだ時に会社と労働者の双方が合意した「大切な約束」であるというのが法律の考え方です。
従いまして、その約束を一方的に破ることは許されることではなく、解雇または労働者が自主退職する場合には「やむを得ない高度の理由があること」が求められます。
本稿はあくまで解雇の話しですが、実は『労働者側が期間の途中で退職するということも同様である』ということもご承知おき頂けると、法律上の雇用契約という考え方を理解しやすくなります。
ただし、労働基準法第81条に定められている「打切補償」をした時や、天災事変その他やむを得ない理由の為に事業の継続が不可能となった時(前述の解雇予告の除外と同様。労基署の認定が必要)には解雇することが出来ます。
以上、いかがでしたでしょうか?ご不明な点がございましたら、いつでも弊所にご連絡頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。
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